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September 27, 2017

幸運に素直に手を伸ばすこと 29日より公開の映画パーフェクトレボリューションが教えてくれること


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月にマスコミ招待試写で見せてもらった松本准平監督作品
「PERFECT REVOLOTION」が
29日から公開になる。

ふつう、試写から一ヶ月以上も経って映画の紹介文を書くことはない。それだけ時間をかけたのは、この作品が障がい者のラブストーリーに丸め込まれて伝えられてしまうのではないかと心配したからだ。

まず、本作のストーリーを簡単に。
幼少期に脳性麻痺を患い、手足が不自由なため車いす生活を送っているクマ(リリー・フランキー)は、障がい者の性に対する理解を求める活動を行いながら、作家活動も送るアクティブな人物だ。

かわいい女の子をみればみさかい無く口説くし、旺盛な性欲の持ち主で、見ていて失笑してしてしまうほどだ。

だが、様々な経験を超えて伝えられる言葉は暖かく、クマの講演では、いつも多くの人が勇気づけられている。

ピンクの髪に染めた派手なルックスのミツ(清野菜名)もその一人だ。

「私、クマピーのことが大好き」とにかくアクティブで押しが強いミツは、クマも引いてしまうほどの猛烈なアタックを繰り返す。

「あなたと私みたいな不完全なもの同士が幸せになれたら、それってすごいことだと思わない? 世界に証明するの! 生まれも性別も、職業も能力もお金も年齢も幸せには関係ないって。」

ヘルパーとしてクマを手助けするようになったミツ。
「この身体で恋愛はもう無理だ」意外にも、クマはミツのアプローチには消極的だったが、少しずつ心を開いたクマは、ミツを受け入れていく。

だが、現実は厳しい。結婚の相談に訪れたクマの実家の法事で、親族中に結婚を反対されたミツは、少しずつ心のバランスを崩していく。

心のコントロールが利かなくなったミツは、もはやクマを支えることができなくなる。誰もが、もう無理だと考えた「不可能を可能にする」クマとミツの完全な革命の行方は?

幸運を素直に受け取ること 根拠のない自信を信じること

ストーリーの結末は、劇場で見てほしいが、僕が本当に感動したのは、ミツがいう「障がいを乗り越えて可能にしようとした「革命」ではない。

お互いが愛し合うあまり、ふつうのカップルが当たり前のように素直に受け取るべき幸運や愛情を逃してしまうことだ。

相手を大事に思いすぎりあまり、相手がくれたものや愛情を素直に受け取れなくて、後悔した経験がある人はいないだろうか。

本作に出ているクマは、愛してくれる女性を求めながら、いざミツという女性が目の前に現れると尻込みしてしまう。
そうしてしまうのは、過去の恋愛経験の失敗だけではないだろう。

望み続けて現れた存在が目の前に現れた時の、手を触れるだけでも畏れを抱いてしまう切なさ。そして、「自分なんかが本当にこれを受け取っていいのか?」という「ねじれた謙遜」だ。

本当に大事なものを受け取り損なった経験を持つ人は、寂寥感を持ってそのシーンを見るのではないだろうか(作品の術中にはまって、クマの背中を押してしまうかもしれない)

もう一つこの作品が見せてくれる大事なものがある。それは、根拠のない自信を信じることだ。

本作で描かれるミツは、押しが強すぎて突飛な行動を起こすし、破天荒にも見える女性だ。だが、どんな問題も、熟考を重ねても失敗するときは失敗する。

むしろ、成功する時は、超自然的な力によって、根拠のない自信がもたらされることが多い。

残念ながら、オトナになるに従って、この根拠のない自信に手を伸ばす勇気を失っていく。年配の方は、そのことをもう一度信じたくなるシーンが多数ある。

幸運に素直に手を伸ばすこと。

理由のない直感を信じてみること。

不幸や失敗の数以上に、幸運や愛はこの世界にあふれている。ミツとクマが最後に取った行動は、そのことを証明しているように思う。

そういう意味で、ミツがいう、不可能を可能にする革命は成功しているのではないか。

9月29日よりTOHOシネマ系映画館で公開・くわしくはオフィシャルサイトへ

 

 

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