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January 2017

January 30, 2017

ルームメイトは美食の女神

「一生貧乏しますが、食べ物だけはどんな時も恵まれます。あなた、美食の女神様が一生ずっと一緒にいてくださるはずですから」


いつだったか失念したが、たまたま見てもらった占い師から、そう言われたことがある。

占いの類いは信じないほうだ。

したがって、「美食の女神」なるものがいるとも思っていなかった。

だが、その占い師の言うとおり、こと食べ物に限っては、それ以来およそ困ったことがない。

二十年近く前、商業誌で書かせてもらえるようになった頃は、おそろしく貧乏だった。家賃や光熱費などを払うと、残金が二千円程度ということもザラ。

「はたらけどはたらけど 我が生活(くらし) 楽にならざり ぢっと手を見る」石川啄木の有名な短歌よろしく、かろうじて残った千円札をテーブルに並べて、

「さて、今月はどうやって生活したものか」途方に暮れていると、どこからともなく食べ物が届く。

しかも、揃いも揃って高級食材ばかり。

農家の方が精米したばかりのブランド米、名店の職人さんが焼いたパン。純国産の甘く香ばしい香りのする手打ちそば。

赤身と濃厚な脂の旨みがある飛騨牛や葉山牛。

赤身と脂の旨味がたまらない雉や鴨といった高級な鳥肉、いい意味で青臭さが残る繊細な味が、たまらなく魅力な鎌倉野菜や江戸野菜。

海外産のチーズやその他諸々。魚にいたっては、およそ国内で流通しているものは、ほぼ口にした。海外の魚も、よく口にする機会に恵まれる。

あるとき、フランス料理で使われるブロシェ(川カマス)という魚がいることを知った。

なかなか凶暴な顔をした魚だが、白身の魚で、独特の旨みがあるらしい。

ぜひ一度ご相伴に預かってみたいものだと思っていたら、その日の夕方に友人が訪れ、ブロシェを使ったクネルというフランス料理を振る舞ってくれた。

ここまでくると、見えこそしないものの美食の女神とやらが、同居しているのではないかと考えるのは自然だろう。

ある時、試しにお金が無理なら、お金に換えられそうな高級食材をいただきたいものだと彼女に願ってみた。

なんと、翌日に、フランスの高級ワイン「クリュッグ(時価二十万円程度)」が、仕事で携わったフランス企業から送られてきた。

さすがに驚いたが、決済が滞って現金が必要だったのでこれ幸いとばかりに、オークションで換金しようと考えた。だが、ここまで出来すぎた偶然もないだろう。

超自然的なはからいを感じて、結局、換金は行わなかった。

以来、美味しい食事で癒やされたい時は、彼女にお願いすることにしている。

どうやら、美食の女神は、気前がいいらしい。おかげさまでそれ以来、気持ちに余裕が出る食生活を送っている。

おねだりばかりでは、しのびない。

何が好みなのか教えてくれれば、包丁を振るおうと思うんだが、なかなか答えは返ってこない。それまで、クリュッグは明けずに、寝かせておこうと思う。

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January 09, 2017

日本酒と林檎(りんご)のスイートグラタン

朝一から取材の連続で、最後は飲食店様の取材で池袋へ。

まるで、水族館のマグロのようにぐるぐると回遊する一日。
これから原稿になるので書けないが、英気を養って事務所へ帰投。
午後10時というと、出版やメディア関係者は普通に仕事をしていることも珍しくない。
たまさか居合わせた若い衆も同様。

ふふ。僕もこんな頃があったなあ、と元気をもらったりする。

とはいえ、若い頃の無理ながんばりは必ずツケが来ることを知っている。
それに、よほど才能と体力に恵まれた人でも無い限り、疲労困憊の中でいい作品は生まれない。
ほどほどのところで見切りをつけるようにアドバイスするが、年長者の言うことに耳を貸さないのも若い証拠。(人のことは言えないが)

こんな時は、心がなごむまかないを作って置いておくのが、最近の私の務めのような気もする。

とはいえ、買い出しにも行ってないし、残りの食材もない。(わざわざおおがかりなものを作りたいと思わないほど疲れておる。)
そもそも、重たいものを食べたいほど、彼らも腹を空かせてはいないようなので、おやつ程度のものをと考える。

「はてさて、何がつくれるかのう」

使えそうなのは、サンプルでもらったクリームパン。これをアレンジしてしまおうか。

1・残っていた紅玉(りんご)をむいて、湯気が立つ程度に鍋で温めた少量の日本酒で煮る。

2・リンゴが煮上がったら、取り出して、小さなグラタン皿に。

3・クリームパンのクリームだけを取り出して、リンゴを煮た日本酒に加えてよくかき混ぜ、弱火で煮詰める。

4・パンは軽くオーブントースターで焼き、包丁で薄くスライス。

5・日本酒で煮たリンゴの上に、薄くスライスしたパン、煮詰めたカスタードクリームをかけ、オーブントースターで焼き色をつける。

こうやってみると不思議だが、日本酒と果実はよく合う。リンゴの香りと甘みを引き立てつつ、ほのかな日本酒の芳香が残る。

「風邪の時に、作ってもらいたい」という一人の若者の言葉に、若い衆一同しみじみ。
そういう僕も、昔、子供の頃、おふくろに、りんごをすりおろしたものを作ってもらったことを思い出す。

うう、考えてみれば、その頃のおふくろより年上になったんだなあ。

斬新なスイーツを作ったつもりだったが、行く道来る道ってことかしら。

とはいえ、いつもより冷え込む東京の夜にいただくと、やさしい味がするのは間違いないのかも。

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January 08, 2017

「七草よりお肉。今すぐお肉食べたいの」そんな時に

正月三が日は、通常通り働いてましたので、あっという間でした。

ぼやぼやしてると、また夏になってしまいそうなので、ピッチをあげて色々なものを書いていきたいと思います。

昨日は七草でしたが、若い方にはなじみがないようで。

伝統を伝えるために、いちおう作りましたが、みなあっさり平らげて、一同いわく「物足らん」。
まあ、そうでなきゃ困りますよね。いい若い人が、食欲がないっていったら、大体どこか体の調子崩してるか、不摂生がたたってエライことになってるのが相場でしょうから。

七草粥食べて、胃もたれを治すなんてのは、僕くらいの年代以上なのだろうと思います。
若い子は、男女とわず、がっつりしたものを好む子が多いので、昨日はお肉を焼いてみました。
とはいえ、こういう時に限って、ストックがないので、セブンイレブンさんの サラダチキンをアレンジしてこさえてみました。
ツイッターにも投稿していますので、なんどかご覧いただいた方もいらっしゃると思いますが。
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冷凍の胸肉が少し残っていたので、ちょいと使いましたが、基本そのまんまです。

「レシピを教えてほしい」というリクエストが結構あったので、簡単に。

1・サラダチキンを薄く削ぎ切りに。
2・フライパンにオリーブオイルと、マイタケ、あれば玉ねぎのみじん切りを加えて炒める。
  (残り物の炒めるのが可能な野菜なら、大体なんでも大丈夫)
3・皿に野菜を高く盛る。
4・再びオリーブオイルをフライパンに敷き、中火で加熱。
  薄く削ぎ切りしておいたサラダチキンを加熱し、片面がきつね色になったら、
  市販のごま風味ドレッシングを加えて、そのまま1分加熱。

5.お肉を、野菜の上に盛りつけて、フライパンに残ったドレッシングを回しかけて完成。
この写真撮った時は、クリスマスで余ったクランベリーをあしらってみましたが、赤いパプリカやプチトマトなどをあしらってもよいかと思います。
鶏肉の生を使う場合は、皮のほうから火を入れて、上の部分が白くなったらひっくり返して完全に中まで火を通すようにしてください。
手抜きというかスピード料理ですが、これ、野菜やドレッシング(調味料ね)を変えるだけで、かなり風味が変わると思います。

日本酒と醤油を混ぜたものを炒めると、焼き鳥風の風味になったりとか。
スピード料理に、もうひと手間加えると、かなりゴージャスになりますので、参考となれば幸いです。

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January 04, 2017

カメノテの味噌汁

年末から正月は駆け足でした。


まあ、もともとフリーライターなんて休みがあってないようなものなのですが。

プライベートといいますか、ライフワークといいますか、普段は料理を作って過ごしていますが、この時期には必然的に、パーティ料理やら、おせち料理やらといった手の込んだものを作ります。


加えて、量を多くつくるのですが、数えで50になろうという僕にとっては、なかなかのハードワーク。
さすがに、ここ数日は疲労がたまったのか、くたくたでした。

そのことを見越してか、友人の漁師が持ってきてくれたのが表題の食材。

カメノテとはよくいったもので、ほんとうにそんな形状をしています。

磯の岩場にくっついている生物で、ハンマーとたがねを使って、岩にへばりついているのをはがすようにしてとらないといけないので、なかなか難儀な食材。

とはいえ、難儀な思いをしても、獲ってくる価値がある食材と考えている人も少なくないようです。
見た目は、象の足されど、その味は、濃厚な貝の旨味。
味噌汁に入れると、実に濃厚な旨味がでます。

イタリアでは、「象の足」と呼ぶそうですが、その旨味から高級食材として扱われているそうです。
沸騰させた湯の中で煮て、殻を外していただくと、アワビと海老を足したような独特の風味があります。これだけ味が良いのに、あまり一般的ではないのは、採集が面倒だからでしょうね。
単にうまいだけではありません。
カメノテに含まれるコハク酸などの成分は、滋養強壮に効果があるとされ、疲れた時にもなんらかの効果があると考えられます。


万葉集の昔は、「背(せ)」と呼んでいて、壮年の男性が元気が出る食材として食べていたという記録もありますね。
そういった高尚な話を知ってかしらずか、「これで元気をつけろ」と、友人は差し入れてくれたのかもしれません。
迷いましたが、味噌汁と塩ゆでに。
塩ゆでにしたものは、そのまま殻をむいて日本酒の肴に。なんとも滋味深い味です。
あまり深酒をしてはよくないですから、1合だけにとどめましたが、体があたたまってなんとも楽な気分。
最後に何も具を足さず、カメノテだけで出汁を取った味噌汁を、シメに。
心なしか、だるさが和らぎ、穏やかな気分になりました。
科学的なエビデンスはありませんが、体に良いとされているものを、客観的に見つめながら食生活に取り入れると、より快適なものになるのかもしれませんね。
もちろん、美味しければなお結構。そんなものを食べていこうと思います。

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January 01, 2017

新年あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

例年、大晦日は仕事をしながら過ごしているのですが、今年も同じように過ごしております。

昨年は、体調の乱れから仕事に支障を来した一年でした。よくよく考えれば、震災の年以来まともに休んでいませんから、不摂生がたたったのでしょう。自重したいと思います。


とはいえ、一年に282本映画作品を鑑賞し、一部の映画作品については媒体に論評を書かせていただいたりなど、新しい分野の仕事を手がけられた一年でもありました。


子供向けの本は、相変わらず紙の本になりません。主に電子書籍でしか上梓できないのですが、海外のほうがやたら読者が増えるという悩ましい(というと、おこがましい限りですが)状態であります。


来る年は、食はもちろん、取材を続けてきた社会保障などの問題について単著を上梓する予定です。

絵本や子供向けの本はハードルが高いです。

とはいえ、今現在で海外とはいえ、詠んでいただける方が増えている以上、なにか仕事にする方法は在るだろうと思っていますが。

まずはその前に、心の向かうままにどんどん作品を量産したいと思います。

今年もよろしくお願いいたします。

松沢直樹 拝


昨年までに上梓した本はこちらで買えます。(アマゾンへ飛びます。




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