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November 2010

November 15, 2010

法律が私たちを差別しているってホント? 一人一票国民会議のみなさんのお話をうかがってみた

法律が私たちを差別しているってホント? 東京地方裁判所に行ってきた。

厚生労働省での記者会見を行う準備に、数カ月前から時間を食われてしまっていて、事後報告になってしまった。

なにしろ、中央省庁である厚生労働省も把握していない問題を、厚生労働省内の記者クラブで、会見するというのは前代未聞だ。相応の時間がかかることは覚悟はしていたけど、読みがかなり甘かった。

というわけで、標題の記事をすぐに公開できなかったことをお許しください。

さて、9月のことになるけど、東京地方裁判所に行ってきた。

ソーシャルメディア・ツイッターで知り合った弁護士さんたちとの会話で、非常にショッキングなお話をうかがったからだ。

ショッキングな話というのは、住む場所によって、私たちに与えられている選挙権が平等に扱われていないというもの。いわゆる「1票の格差」と言われる問題だ。

この問題は、以前から知っていた。だけど、法律によって自分が差別的な扱いを受けているとは思っていなかったし、不利益を被る可能性があるとも思わなかった。

弁護士さんたちから説明を受けるうち、1票の格差が思わぬ形で、様々な弊害を生む可能性を知って愕然とした。

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9月13日、東京地方裁判所での口頭弁論の後に、隣接する弁護士会館でお話をうかがった一人一票国民会議代表の弁護士の先生方

上から、伊藤真先生、升永英俊先生、久保利英明先生(撮影・松沢直樹)

1票の格差の問題ってなに?

1票の格差問題というのは、一言で言うと、国会議員を選ぶ選挙(国政選挙)での選挙権が、住む場所によって差別されているということ。

現在の国政選挙は、比例代表制度と小選挙区制度に分かれている。

このうち、小選挙区制度というのは、僕たちの住んでいる場所から立候補した人の中から、有権者が立候補者を指名して、議員さんを選ぶ制度だ。

このシステムを簡単に説明すると、日本全国をブロックに分けて、各々のブロックに住む国民が、立候補者を選んで投票する方法。

選挙前に、あらかじめ各ブロックごとの当選枠(議員になれる人の人数が決まっている)ので、選挙の得票順に議員が選ばれる。

選挙の時は、立候補者の名前を直接書いて投票するし、投票日の夜に、開票速報が流れて、「当選確実」とかテレビで放映されるので、親近感を持っている方も多いと思う。

単純明快で公正なシステムのようだが、実は盲点がある。民主主義の基本である、多数決の原則が機能していないのだ。

住所によって差別されている選挙権― 私の票は0..5票の価値しかない?

国勢選挙で決められる衆議院の定数は480人、参議院は242人。

このうち、公職選挙法という法律の4条で、衆議院議員は小選挙区制度で300人、参議院は146人を選ぶことが決まっている。

本来、多数決で公平に議員を選出するなら、
衆議院議員選挙の立候補者は(日本全国の有権者数÷300)。
参議院議員の立候補者は(日本全国の有権者数÷146)

立候補者が、この得票数を得れば、国民の信任を得たとみなしたと考えることができる。

この数を仮に「信任ボーダー数」と定義しよう。(便宜上、僕が勝手に決めたので、一般的な用語ではないから、そのあたりは御容赦ください)

現在の小選挙区制度選挙は、各ブロックの中で立候補した人から、得票数順に議員を選出する。

多数決原則が反映された公平な選挙を行うとしたら、そのブロックの(有権者数÷「信任ボーダー数」)で、衆議院・参議院の当選枠人数を決めなければ、多数決の原則が反映された公正な選挙にはならない。

そのブロックにどれだけの有権者がいるかは簡単にわかる。地方自治体が運営する選挙管理委員会が有権者の名簿を持っているからだ。

したがって、「信任ボーダー数」を割り出すのは可能だし、各ブロックの公平な当選者枠を割り出すことは難しいことではない。

(注・選挙管理委員会とは、選挙の前にお知らせを送ってきたり(有権者の名簿がなければお知らせは送れませんよね)、実際の選挙の運営、開票作業を行う地方自治体の組織ですね)

ところが実際は、各選挙区の有権者数に関係なく、当選者枠が決められてしまっている。

たとえば、衆議院の小選挙区選挙だと、高知三区では、人口25万人に対して国会議員が一人当選するのに、東京一区では、人口52万人に対して一人が当選する形になっている。

つまり、高知三区の有権者に対して、東京一区の有権者は、投票の価値が0.5票しかないことになる。

都会だから優遇 地方だから冷遇ともいえない不思議な状態

先に僕が書いた各ブロックの(有権者数÷「信任ボーダー数」)
つまり、公平な多数決の原則に基づいて、衆議院・参議院の小選挙区選挙の当選枠を決める方法について、懸念する姿勢もあるようだ。

当然のことながら、さっき僕が定義した「信任ボーダー数」に基づいて、各ブロックの当選枠を決めると、人口の多い都会のブロックからは、多くの議員が選出されることになる。これでは不公平だ。

立候補する人が、都会に住む人にとって魅力のある政策を公約に掲げて選挙に臨む可能性がある。そのような立候補者が当選した場合、都会だけが豊かな政策が実施されるなんてことになりかねない。

(本来、国会議員は、国民全体の奉仕者であって、特定の地域を優遇することはあってはならないんだけど、選挙時に、当選を勝ち取るための戦略として、立候補する地域に便宜を図る政策を掲げる人も少なくない。)

では、その調整を行うために、多数決の原則が反映されない形のまま選挙が行われているかというと、そうでもない。都会だから優遇、地方だから冷遇ともいえない不思議な状態のまま、選挙が行われているのだ。

たとえば、参議院小選挙区選挙の場合、鳥取県に住む人の選挙権を1票とすると、北海道は0.21票、東京0.23票、愛知0.25票、三重0.32票、京都0.47票、大阪0.21票という状態になる。

まずは、次のサイトで、あなたの選挙権の価値を調べてみてほしい。きっと驚くはずだ。

一人一票実現国民会議 http://www.ippyo.org/

今の日本の選挙制度は、住所によって1票の価値が異なるため、国会議員の多数を、少数の有権者が選出していることになっている。

一人一票実現国民会議の資料によると、衆議院では45パーセント、参議院では、40パーセントの有権者が、過半数の国会議員を選出する形になってしまっているという。

これでは、国民の意見が反映されているとは到底言えない。
それにもかかわらず、国は、憲法には違反しておらず、問題がないという姿勢を示し続けている。

自分の生活にはねかえってくる可能性 1票の格差問題
 「公平な形で選挙が行われていないのはわかったけど、議員さんはちゃんと選ばれるんだし、別にいいじゃない。自分には関係ないんじゃないの?」

色々な方に話をしてみると、こういった答えが返ってくることがある。

 残念だけど、自分にとってまったく無関係じゃない。大アリだ。ブーメランのようにはねかえってきて、自分の生活に直接影響を及ぼすようになる。

 そもそも国会議員という人たちは、法律を作るのが仕事だ。(法律を作れるのは、地方自治体の条例をのぞいて国会だけ)

国会の議事録を見ていると、約2日に一つのペースで、新しい法律がつくられたり、改正されている。

当然だけど、このうち、税金や年金、医療、教育、福祉など、僕たちの生活に直接かかわってくる法律も作られている。そんな法律が、少数の人たちで選ばれた議員さんによって、作られるとしたらどうだろうか。

たとえば、消費税が30パーセントになりましたとか、

年金の支給額が半分になりますとか、

健康保険料は倍額の支払いをお願いするようになりましたとか
(僕は国民健康保険で保険料も高いし、窓口2割負担なので、ものすごく困る)

公立高校や国公立大学の授業料は3倍支払ってもらうようになりましたとか

決まった時に、不服に思わないだろうか。

一部の人の意見が選挙で反映されて議員さんが選ばれる中で、こういう状態になった時「それでも別にかまわない」という人はいないと思う。

私たちの権利を保護する「憲法」が守られない社会になった―1票の格差は、ここにも影響する

僕が一番心配しているのは、国民が当たり前の幸福を手に入れることが、ないがしろにされる時代になりつつあることだ。

憲法では、私たちが国民であることの権利と、国家権力の濫用から守られるための規定が定められている。

この中には、先に述べた選挙に関する権利(選挙権は義務ではなくて、私たちの権利)をはじめ、生活に密着したごく身近な様々なことが規定されている。

たとえば、結婚のこともそうだし(憲法24条)、職業を自由に選んでもよいこととか(憲法22条)、努力しても生活が立ち行かなくなった場合に、最低限の文化的な生活を送る権利を保障する(憲法25条)など。

残念だけど、憲法で保障されたこういった私たちの権利が、全て守られているとは言い難い。

この数年、社会保障問題について取材を続ける中で、正当な生活保護の需給申請を、地方自治体から拒否されたりといった、憲法が犯される瞬間を何度も見てきた。

(生活保護法では、要件を満たしている場合、国が申請を拒否できない。同時に、地方自治体は、憲法25条に違反している形になる)

こういった問題が起きた時、私たちは裁判を通して国に不服を申し立てる方法を余儀なくされることがある。

だが、憲法について審議する最高裁の判事は、国会議員で構成される内閣によって任命される。

つまり、1票の格差を放置して、少数の人が議員を選ぶ現在の選挙制度のままだと、私たちは裁判を通じて不服を申し立てても、公正に審判してもらえない可能性があるのだ。

憲法で規定された国民審査権を、海外居住の国民に与えない矛盾

話を、東京地方裁判所で傍聴した口頭弁論の話に戻そう。9月13日に、僕が傍聴した裁判は、国民審査権についての裁判だ。

選挙と同時に、最高裁判所裁判官の信任・罷免を問う国民審査が行われる場合がある。

(選挙管理委員会から、立候補した議員と同時に、最高裁判所判事の経歴が書かれた公報が一緒に送られてくるので、「ああ、あれか」と思う人も多いのではないだろうか)

国内・海外に住所を構えていても、選挙権は日本国籍を持つ成人に与えられる。ところが、おかしなことに、海外居住の人には国民審査権が与えられない。

(最高裁判所裁判官国民審査法第8条では、「日本国内に住む国民にしか国民審査権を与えない」と規定されているからだ。)

憲法15条では、国民に公務員を罷免する権利があることを定めているのに、これはあきらかな矛盾だ。

最高裁判所は、憲法が正しく運用されているかをチェックする機関である。
つまり、国民審査権は、最高裁判事が国民の権利を守る憲法を正しく運用しているかどうか、国民が監視を行う上で絶対に欠かせない。

最高裁判事が憲法をきちんと運用されているかをチェックする機能。
いわゆる国民審査権を一部の国民には与えないのが合法だと裁判所が判断したら、全ての国民が、法律で公平に保護されていない状況を創り出していると言っても過言ではない。

本論から外れるので割愛するけど、口頭弁論(注1)を傍聴(注2)した後、被告である国側の答弁について調べたところ、僕は唖然としてしまった。

率直にいうと、国は、国民審査権が国民に与えられた権利という意識は薄いようだ。

これでは、おそらく1票の格差から生じる様々な問題についても、国は重要性をさほど感じていないのではないかと思う。残念ながらこれが正直な感想だ。

注1―口頭弁論 裁判では、訴えた側(原告)、訴えられた側(被告)が、それぞれの言い分を裁判官に判断してもらうために、口頭で説明する機会が設けられる。

注2―裁判は公開が原則とされているので、裁判に関係のない人でも、内容を聞くことができる。

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この日、口頭弁論を傍聴した方々。法曹関係者志望の方たちが多数。閉廷後、隣接する弁護士会館にて、一人一票国民会議の代表の弁護士さんたちの説明に、熱心に耳を傾けていた。(撮影・松沢直樹)


様々な問題山積の時代 まず一人一票を実現することから

先に述べたように、僕は、社会問題の最前線を取材する中で、私たちの生活と生命を守ってくれる憲法が、きちんと運用されていない場面を幾度となく見てきた。

有効な政策が提示されずに、私たちの生活は日に日に苦しくなっているのが現状だ。こういった問題を一気に解決する方法はない。

だが、代表民主制がきちんと運営される仕組みを作ることで、解決の一歩が踏み出せると思う。(私自身は、早急にやらなければいけないと思っている)
 
 無理に勧めないけど、まずは一人一票国民会議のサイトで、あなたの住んでる地域の1票がどれだけの価値しかないかを確認してほしい。

http://www.ippyo.org/ 「一人一票実現」で検索

判決を傍聴しよう 裁判はドラマを見るよりもエキサイティングだ

いささか不謹慎なタイトルだけど、裁判はドラマを見るよりも楽しい。
私の知っている作家さんに、裁判の傍聴マニアを自称する方がいるくらいだ。

裁判の傍聴は無料なので、ぜひ一度傍聴することをお勧めする。
事前の手続きもいらない。裁判所に出かけて、裁判がはじまる時間までに傍聴席に座ればよいだけだ。

(ただし、傍聴希望の人が極端に増えた場合、抽選になることがあるので、傍聴を希望する場合は、早めに出かけたほうがいいかもしれない。

また、一つの裁判所には、いくつも法廷があるから、可能であれば、どの法廷で裁判が行われているか事前にチェックしたほうがいい。もし分からない場合は、裁判所の受付で調べることもできる)

さて、これまで書いてきた1票の格差の問題だけど、一人一票国民会議の弁護士の方たちが、日本中の裁判所で裁判を起こしていて、11月17日の東京高等裁判所を皮切りに、全国の裁判所で判決が言い渡される。

●一人一票(参議院選)判決マップ
http://www.ippyo.org/pdf/20101110001j.pdf

私たちの生活にかかわる裁判だから、考えさせられることがたくさんあるし、歴史が変わる瞬間が見られるかもしれない。

私も実際に傍聴して、色々と気付かなかったことがあった。傍聴して本当によかったと思う。

裁判の情報は一人一票実現国民会議のサイトを見てほしい。サポーター登録をすれば、メールで情報を送ってもらえる。時間があえば、是非近くの裁判所に出かけみてください。

●一人一票国民会議 http://www.ippyo.org/ 「一人一票実現」で検索

ソーシャルメディア ツイッターでつぶやこう

 ソーシャルメディア「ツイッター」にアカウントを持っている人は、一人一票の問題について、他の方に質問したり、意見をつぶやいてみてほしい。

毎週末の土曜日に、一人一票国民会議の弁護士さんが、読書会をツイッター上で行っていらっしゃるから、参加されるのもいいだろう
(私は、外に出ている機会が多くて、なかなか参加できてないので、これからまめに参加させていただこうと思う)

ハッシュタグの使い方が分かる方は、#ippyo で検索してほしい。
この問題について色々な意見を述べている方の意見を読むことができる。

景気が厳しい時代だから、興味はあるけど裁判所まで出かけるのは無理という人も多いと思う。

でも、ツイッターでつぶやくことなら、携帯電話からだってできる。無理をすることはない。関心のある人が、無理のない形でできるだけ多く参加することが世の中を変えるきっかけになると思う。

多くの人が自分の意見を唱えたら、それだけで世論が喚起されて、問題解決の一歩になる。あなたもその一人として、ぜひ参加してください。

携帯電話から、ツイッターを通して意見を述べるだけでも、自分の生活を取り巻く環境を変える一歩になると僕は思っています。



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November 11, 2010

11.3のフリーランス文化祭に出演してきました

フリーランスのユニオンで企画した文化祭(学生さんみたいですが)に出演してきました。

僕は、自著を売ったり(遊びに来て下さった方ありがとうございました)してたんですが、ユニオンのネット放送でMCしたり、他の方のライブを楽しんだり。良い一日でした。

外部向けの放送で、MCやらせていただきました。一緒にMCしてくださってる石野ゆうこさんは、同じユニオンのメンバーで、歌手の方ですね。映画クレヨンしんちゃんのテーマとかをうたっていらっしゃる方です。



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厚生労働省記者クラブで記者会見を行ってきました

事後報告になりますが、厚生労働省記者クラブで、記者会見を行ってきました。

委託労働者やフリーランスをはじめとした非正規労働者の方は、労働基準法などで保護されないため、報酬の未払いや、契約違反による仕事の差し止め、パワハラなどの被害に遭う方が後を絶ちません。

このような問題の改善を求めるために、11月3日に東京 新宿にある芸能花伝舎という場所で、ライブなどのイベントを行ってきたのですが、その告知と合わせて記者会見を行いました。






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