勉強というタテマエの映画三昧
今週は、人とぶつかり合う時間が多い週でした。
プロデューサーとの方針の食い違いから、取っ組み合いのケンカに発展したりとか(うそ)
挙句の果ては、プロデューサーの席に対人地雷「クレイモア」を仕掛けたら、報復として狙撃されたり、命にかかわる緊迫した瞬間が続きました。
わが職場は、イラクやミャンマーより危険な状態となりました。(さらに大嘘)
フリーランスって、仕事は与えられるものじゃなくて、作り出す立場なんですよね。
やることは一杯あるのだけど、たまには息抜きも必要だと思いまして、映画なぞ見に行ったりしておりました。
(本当は、営業にでかけたらことごとく空振りしたんで、気晴らしに出かけたのですが)
お振込みされたばかりの印税で、映画三昧。
ええ、これも大事なお勉強です。
試写会の取材とか、レビュー執筆とか、お仕事で映画を見る機会は増えたのですけど、プライベートで映画を見る機会って少なくなったな。
ゆったりしたシートに座って、大画面をほぼ独占しつつ、ビールなぞいただくのは、最高に楽しいっす。
今週はあちこち回って、計10本ほど見ましたが、勉強になる気づきが多々ありましたですな。
作品のジャンルとか監督さんとかキャストに関係なく、できるだけ多くの作品を見に行くようにしていますが、やはり勉強になるのは、小説が原作になっている作品です。
映画の場合、キャストの関係とかで、原作とシナリオが変わってしまう場合もありますし、また同じシナリオでも監督さんによって、作品の仕上がりがまるっきり変わってしまいます。
特に日本映画の場合、予算とかキャストなどといった経済的・政治的な理由で、シナリオが原作から大きく外れてしまうことが多いので、大体洋画を見ることが多いです。
てなわけで、教材用にニコラスケイジ主演のNEXTという作品を見ましたが、フィリップ・K・ディックの原作「ゴールデン・マン」の世界を、映像ならではの世界に再構築していて、非常に興味深かったです。
ネタバレになるので、ぼかして書きますが、非常に興味深かったのは、最近のアメリカ映画にありがちな、アクションシーン満載の勧善懲悪の物語に終始していないこと。
ニコラス・ケイジ演じる「ある特殊な能力」を持つ男が抱える苦悩と、人としての喜びを細部にきちんと織り込んでいることは、非常に評価できると思いました。物語は、細部に神が宿りますからね。
リータマホリ監督の作品って、こんなにメロウな感じがする作品ってあったかしらん?
そのあたりは、ニコラス・ケイジの演技力の影響が大きいのかな。
彼自身、鉄腕アトムの実写版を作りたいと言っていたくらいだから、おそらく相当日本映画を見ているでしょう。
小津安二郎監督のような、人物を的確に描ききる作品をたくさん見ているとしたら、ああいった演技が生まれてくるのも理解できるような気がします。
また、アクションシーンの構成やカメラワークも、非常に臨場感のある仕上がりになっていて、好感を持ちました。
これまたネタバレになるので、ぼかして書きますが、本作では、警察組織を前面に押し出したアクションシーンが登場します。こういったシーンは、やはりアメリカ映画は強い。
「強い」というのは、ディティールを徹底して作りこんであるので、リアリティがあるんですな。
「これくらい作れば、観客にはわからないだろう」といった、脇の甘い映像がどこにも見えない。この姿勢は評価するべきだと思います。
アクションシーンに限らず、こういった物語の本筋ではない部分の作りこみというのは非常に大事で、たった一箇所の甘さが作品全体を損ねてしまうことも珍しくありません。
たとえば、時代劇で空に飛行機雲が映っていたりすると、物語世界が一気に、嘘くさくなってしまうわけですが、それと同じようなことですね。
ただ、残念なのが、物語の膨らませ方は素晴らしいものの、物語の閉じ方が原作を知っていると物足らない気がしないでもありませんでした。
このあたりは、製作者の意図的なものなのかもしれませんが、(ニコラスケイジは、人との関係をうまく描くことを考えていたとインタビューに答えているみたいですしね)音楽などでイメージをうまく補足するとかいった工夫ができたのではないかと思います。
とはいえ、フィリップ・K・ディック原作の「ゴールデン・マン」というSF小説は、おそろしく出来がいい作品なので(そもそも短編小説でSFを書ける人って、おそろしく筆力のあるかたですから)、相当苦悩下上でのシーンなんでしょうね。
それにしても、スティーブンキングといい、フィリップ・K・ディックといい、SFとか超能力みたいな、映像にするのが恐ろしく難しい原作に果敢に挑むチャレンジ精神というのは、見習いたいものです。
ビールの余韻も手伝ってか、楽しくかつ勉強になった時間でした。
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