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September 15, 2007

スパイス使い 松沢

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写真は業者さんから渡されたスパイスのサンプル。

以前、このブログで書いたスマトラカレーをメニューにしたいというお店からお話をいただいたので、メニュー開発をすることに。 はたして仕事になるのやら。

スマトラカレーというのは、インドネシアの西にある「スマトラ島」で食べられているカレー。20種類以上のスパイスを弱火で炒めるため、全体的に黒っぽい色をしているのが特徴。

東京・神保町の共栄堂さんが有名ですね。

インドネシア料理というと、なんだか馴染みがないような気もしますが、スマトラカレーは、昔、家庭で食べてた「ライスカレー」の風味がします。昭和の味っす。

それもそのはず、第二次世界大戦中、インドネシアに進駐していた日本人兵士がスマトラカレーの作り方を覚えて帰国して、日本中の家庭に普及したのが、いわゆる「ライスカレー」

カレーってインド料理じゃないの? そういう声が聞こえてきそうですが、そう思うのもごもっとも。
実は、日本のカレーは、2種類あるんです。

旧日本海軍が常務員の食事として、当時イギリスの植民地だったインドカレーを採用したのが、日本にカレーが伝わった始まり。

海軍主計兵調理術教科書という本に、当時の作り方が記録されていますが、やはりインド料理というよりは、欧風料理といった趣が強い感じがします。古くからの洋食屋さんは、この影響を受けているみたいですね。

旧日本海軍の拠点基地だった神奈川県横須賀市や福井県敦賀市などでは、多くのご家庭でも同様の風味を残したカレーが作られているようです。

(たしか、横須賀市には商品化された海軍カレーなんてのがあったっけか。現役の海上自衛隊員の方が言うには、長期航海中は、曜日の感覚を麻痺させないために、毎週金曜日にカレーを食べる習慣があるんだとか。旧海軍時代からの名残らしい)

昭和3年に開設された東京・銀座の資生堂パーラー創業当時メニューに「カリーライス」の名前が挙がっていることをみると、当時既にカレーが普及していたことがうかがえます。
ただし、地方都市の家庭では頻繁に作られる雰囲気ではなかった模様。

やはり、カレーが日本中の家庭に普及したのは、出征した日本人兵士によってスマトラカレーが伝えられた後のようです。

余談ですが、昭和7年の読売新聞の特集「味覚の秋」で掲載されたコラムに、「イギリス経由で渡ってきた日本のカレーは、本場のインドカレーよりも味が劣るといった」記事があります。

寄稿者は、ラス・ビハリ・ボース。歴史の教科書でも有名な人物ですが、ボースは、イギリスの植民地だったインドの独立運動のトップでした。

ボースは、インド独立運動を起こした後、イギリス政府から逮捕懸賞金をかけられ、日本に亡命します。
その後、現在の新宿・中村屋に身を寄せるのですが、本場のインドカレーを中村屋に伝えて、店の隆盛を支えました。現在でも、中村屋ではその味を楽しむことができます。

読売新聞の件の記事ですが、当時アジアを植民地にしていたイギリス政府と敵対する日本政府の政治宣伝をうまく利用して、ボースが、お世話になった中村屋のカレーを宣伝することを買って出たのでしょう。いずれにせよ、歴史を感じる話ですね。

話が迂回しましたが、スマトラカレーのほうへ。
本来、約30種類のスパイスを調合してカレーパウダーを作るのですが、コストが見合って、なおかつ、お店で出す際に調理がさほど難しすぎず、独特の風味と旨みを引き出すスパイスの調合は至難の業。

香水の調香師のように、個々のエッセンスを大切にしながら、複数のスパイスを調合し、一つのものにまとめる力が要求されそうです。
とりあえず、本来は30種類くらい使うスパイスを10種類前後に絞って、最高のポテンシャルを引き出すレシピを考えないといけないのですが、締め切りに間に合うかどうか。 しばらく頭の中がカレーだらけになりそうです。

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Comments

スマトラカレー、僕のお気に入りの一つです。
共栄堂さんは、歴史のあるお店のようですね。
独特な雰囲気があります。
スマトラカレーの風味は、本当に特徴的だと思います。
最初はそれほど辛く感じないのですが
スパイスのせいか、食べているうちに
だんだん体が熱くなってきます。
このコクの深さがいいですね。

マサでした。

Posted by: マサ | September 23, 2007 at 08:37 AM

マサさん、こんにちは。
共栄堂さんのスマトラカレーは人気ですよね。独特の色合いの中に、深いコクがあるのが多くのファンを魅了しているのだと思います。
欧風カレーとはまた違った親しみやすさがあって、それでいて「よそ行き」のご馳走の味。昭和のカレーの味がします。
いつまでも親しまれる味であってほしいですね

Posted by: 松沢直樹 | September 27, 2007 at 04:34 AM

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カレー好きとしては、時々原点に戻り 好きな店の味を確かめに行きたくなります。 (カレーを評する基準の一つになりますので) そんな訳で神保町・共栄堂に出かけてきました。 ポークカレー(800円)を注文〜。 早速、熱々のコーンスープがでてきます。 お目当てのカレーも、さほど待たずに出てきました。 本当にここのカレーは奥が深いです。 じわっとカレー自体の旨さが伝わってきます。 エチオピアのようなキレや ボンディーの持つ濃厚さとは、ちょっと違っています。 ジワジワとボディーブローが..... [Read More]

Tracked on September 23, 2007 at 08:37 AM

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