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September 10, 2007

24時間映画祭@代官山

24時間映画祭のファイナルで、代官山にお邪魔してきました。

24時間映画祭というのは、まる一日映画を上映するイベントではなくて、なんと、映画を24時間で作ってしまおうというイベント。
しかも複数チームが参加して、製作の状況がリアルタイムに見られる上に、一般観客の投票でグランプリを決定。

本日ファイナル。シークレットゲストを迎えて、五時から始まるパーティ形式の上映会でグランプリが決定。

■くわしくはこちら
http://24eiga.com/

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受賞式の様子です。
あらかじめ、無作為に与えられた3つのキーワードを入れて、24時間以内に3分~7分の映像作品を作るという、作り手にとっては非常に厳しい条件の揃った映画祭でしたが、力作揃いでした。

参加チームは以下の通り。

人生送りバント        (クルー10名)
佐賀サメ☆パニック     (クルー6名)
SkyTheaterPROJECT    (クルー6名)
ユートピア           (クルー10名)
イボタノキ           (クルー3名)
APRIL            (クルー6名)
ミュータントX         (クルー8名)
テンガロン          (クルー3名)
Y-4             (クルー5名)
the northern facility    (クルー5名)
nacosuke           (クルー2名)
Big Happy to U+α      (クルー5名)
ギクシャクした関係の4人 (クルー4名)

どのチームと作品がグランプリを受賞されたかは、ここでは伏せます。公式サイトをご覧くださいまし。

http://24eiga.com/

この24時間映画祭は、あらかじめ無作為に指定されたキーワードを3つ入れた上でシナリオを書き、24時間以内に3分から7分の映像に収めなければいけないというのが、ルールの骨子。

正直言って、相応の経験のあるプロの方でも、かなり厳しい製作環境だと思います。

与えられたキーワードを3つ盛り込むということは、映像の物語世界を生み出すことに、制約がかけられるということです。

その制約のある中で、観衆をひきつける物語世界を構築するというのは至難の業です。
加えて、撮影環境にも制限があるわけですから、映像化が可能で、なおかつ昇華したシナリオを構築する力が問われることになります。

エントリー作品を全て拝見させていただきましたが、全ての作品で、そのあたりに苦戦していたのが、うかがえるような気がしました。

グランプリは、観客の投票によって決まるシステムだったのですが、個人的には、チームnacosukeの作品「ハレノヒ」が、撮影環境の制約が多い中、完成度の高い物語世界を構築しているように思いました。

作品の詳細はここでは触れませんが、「雨男」「ガイドマップ」「秘密基地」という3つのキーワードをテーマに、カメラが女優さん一人を追う手法でストーリーが展開していく作品です。

カメラワークにも一定の工夫が見られますし、カメラが女優さん一人を追うという手法が、ごくごく普通の日常の中に現れた特別な出来事を、見事に表現しているように思いました。

残念なのは、女優さんの台詞に物語世界を表現させることを、ほとんど任せてしまっているので、作品が表現しようとしている物語世界について、観衆が理解する努力を強いられる可能性があるということでしょうか。

残念ながら、全ての観衆は、製作者や出演者が「どのような物語世界を伝えたいのか」ということを理解しようと意識しながら、作品を鑑賞してくれるわけではありません。
脚本のト書きは、映像中では1秒にも満たない時間で経過してしまうこともあります。

そういった台詞の中に、物語世界を理解するための鍵が握らされていると、観衆は作品が伝えたいことを全く理解できないまま、エンドロールを見なければいけなくなる可能性が出てきます。

映像作品は、言葉で表現できないことを一瞬で理解させられる表現手法を武器にできるわけですから、鍵になるシーンに、それらの映像を織り交ぜると、さらに素晴らしい作品になったのではないか、と思います。

極端な話、この作品は、全く音声の無い映像になっても、観衆の胸に残る物語世界を表現できる力強さを持っていると思います。
シナリオのト書きを全て伏せてみて、観衆に伝えたい世界を表現する上で不足しているものや、削らなければいけないことを推敲してみるとよかったのではないでしょうか。

とはいえ、監督と女優さん二人だけという厳しい製作環境の中で、これだけの物語世界を構築して映像化したのは見事だと思います。ぜひ次回の製作は、さらに昇華した物語を生み出して映像化してください。期待しています。

他のチームの作品も、映像自体はまとまっているものの、残念ながらストーリーに破綻が発生してしまっていたり、後半のストーリー展開の勢いが失速してしまっていて、作品自体の面白味がこぼれてしまっているケースが多かったように思います。

与えられたキーワードを「核」にして、強固な物語を構築できればベストなのでしょうが、必ずしも前面に押し出さずに、強固な物語を構築することもできるのではないかと思います。

シナリオの時点でそれらのことを意識して、物語を練って、より強固な映像作品を生み出してください。みなさん、素晴らしい才能と製作能力をお持ちですので、さらに素晴らしい作品を呈示してくださると思います。素晴らしい作品が生まれてくることをお祈りしています。

冗長になりましたが、グランプリおよび各賞受賞のチームのみなさまにおかれましては、まことにおめでとうございました。みなさまの今後のご活躍をお祈りしております。

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Comments

こんにちは。nacosukeです。作品についてのコメントをありがとうございます。とても嬉しいです。私事ですが、いわゆる「映画」を撮るのは2度目でして、一人だったということもあり、技術的にはかなり難があったのですが(編集しながら、使えるカットが少ないのに気付いて反省しました)今回は女優さんの機転にずいぶんと助けられました。
個人的には、私の中でどうしてもやってみたかった「順撮り」と「長回し」が(撮影条件を考慮した際にやらざるを得なかったとは言え)できたことが大きな収穫になったと思っています。

Posted by: nacosuke | September 13, 2007 at 12:54 PM

necosukeさん
コメントありがとうございます。24時間映画祭ではお疲れ様でした。
お返事が大変遅くなりまして申し訳ありません。締め切りなどで、HPの更新もままならない状況ですので、ご容赦いただければ幸いです。

日記の中でもコメントさせていただきましたが、撮影の制約が多い中、独自の映像世界を生み出していることに、僕は好感を持ちました。
ただ、日記の中でもコメントさせていただいているように、脚本の段階で、ストーリーをしっかりと練れていなかった感があります。

一緒に鑑賞させていただいた、他のプロクリエーターの方(映画関係の方だけでなく、出版関係の方を含めてですが)参加しておられたチーム全員にその傾向が見られると指摘していらっしゃいました。

24時間映画祭の出展条件は、MAXで7分の映像に収めることが条件だったかと思います。
ひとつのストーリーをこれだけの長さに収め、なおかつ観客を映像世界に引きずりこむ剛腕なストーリーにするには、余計なものを一切削ぎ落としたストーリーを構築する創作力が要求されるかと思います。
(有体の言い方をすれば、最初の1シーンがスクリーンに写った時点から、観衆が引き付けられるような作品世界を映像に写しこむことでしょうか)

卓越した才能を持ち、トレーニングを積んだ脚本家を探すか、もしくはご自身でそういったスキルを磨かれることが、さらなる洗練された映像を生むことにつながるかと思います。

また、映像は、ストーリーを表現する上で、無言でも観衆に何かを伝えられる強力な力を持つ創作物です。たった1秒の映像でも、観衆の心に強く焼き付けられることがあります。それが他の創作物には見られない映像という創作物の強みだと思います。

日記中で、女優さんの台詞に作品世界を代弁させる危うさについて説明させていただきましたが、女優さんの台詞でしか表現できないこともあるでしょうし、また無言の映像でしか表現できないシーンもあるかと思います。
そういった効果を意識されて脚本を練り、実際の撮影に臨まれると、作品全体がさらに印象深いものになりますし、映像表現技術自体も独特のテイストを感じさせるものに昇華していくことと思います。
まだ2作目の作品ということですので、これからもぜひ頑張って映像を撮り続けてください。今後の活躍をお祈りしています。

松沢 拝

Posted by: 松沢直樹 | October 18, 2007 at 02:12 PM

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